皆さんは「粉瘤(ふんりゅう)」ってなんだか知っていますか?
パッと見はニキビやウオノメのようなものだと思われることが多いのですが、これらのできものとは違います!
この粉瘤ができやすい場所におしりやデリケートゾーンが挙げられます。
なんとなく、気が付いたらできていたデリケートゾーンのできもの…
ただのニキビだと思っていませんか?
今回はそんな、どこにでもできる可能性があるのに、あまり知られていない粉瘤について見ていきましょう!
そもそも粉瘤とは…?
そもそも「粉瘤(ふんりゅう)」とは一体なんなのでしょうか?
粉瘤とは、別名「アテローム」や「アテローマ」と呼ばれる腫瘍の総称です。
よく、脂肪の塊などと言われることがありますが…実際には皮膚の垢(角質)や皮膚の脂(皮脂)などからできたものです。
そのため、ニキビのように放っておけば治るということもありませんし、中身を押し出そうとしてはいけません。
また、ウオノメとも違うので液体窒素などで焼くような施術でも治りません。
この粉瘤ですが、体外へ排出されるべきものが皮膚の内側の袋に溜まってしまうもので、放って置くと徐々に大きくなっていきます。
この粉瘤の肥大化によって、痛みやかゆみなどの違和感を伴い受診する人が多く、そうした人の多くはニキビなどのできものだと思っていたと言います。
それでは、この少々厄介な粉瘤についてさらに詳しく見ていきましょう!
粉瘤のできやすい場所と症状
それでは、粉瘤のできやすい場所から見ていきましょう。
症例などを見てみると、顔やおしり、背中などに多いような印象を受けたのですが…
実際は身体全身のどこにでも発症するものでした。
皮膚の表面が盛り上がり、柔らかいしこりができるものなので指や首などにもできるそうです。
しかし、手のひらや足の裏などの特殊な皮膚にできる粉瘤の場合はケガが原因で発生することが多いようです。(ケガをした際に傷口から雑菌が入らないように注意が必要)
また、ヒトパピローマウイルスとよばれるウイルスが関連して起こるということもわかっていますが、ケガやウイルスも原因の一部であり、決定的な原因はいまだにわかっていません。
続いて、粉瘤の症状についてです。
前述したようにニキビやウオノメなどのできものを連想させるようなしこりが表れます。
膨らんだしこりの中央の開口部が黒い点のように見えることがあります。
圧迫などにより破れてしまった場合、この黒い点のところから臭いドロドロとしたものが排出されることがあります。
基本的には痛みやかゆみなどの症状は見られませんが、炎症を起こしたりすることで赤くなったり、凸凹したり、痛みが生じたりします。
炎症を起こさせないようにすることが大切ですので、むやみに触るのはよくありません。
粉瘤の見分け方
一般的に素人の私たちが見て見分けがつくようなポイントはありません。
普通のニキビとちょっと違うかも…違和感がある!と感じた場合は医療機関での診察や検査を行ってください。
粉瘤は診察で判断されることが多く、内部に角質が入っていることが確認できれば粉瘤であると言われます。
しかし、しこりの大きなものや強い炎症を起こした後の粉瘤などの場合は他の腫瘍と区別するためにCTなどの画像検査が用いられることもあります。
あまりも炎症が大きいものや、しこりが大きいと検査が大掛かりになったり、すぐに取り除くことができない場合がありますので、悪化しないうちに受診することが望ましいです。
粉瘤はどこで診てもらえるの?
皮膚の病気だから皮膚科?それとも手術が必要だから形成外科?…など、
実際に受診するとなるとどこを受診するべきなのか迷いますよね。
デリケートゾーンなどにできた場合は産婦人科等で見てもらうのもいいのですが(粉瘤以外の病気の可能性や体位をとれる診察台の関係上)、基本的にデリケートゾーン以外の場所であれば形成外科で診察してもらうことをおすすめします。
粉瘤は自分での判断が難しいものですので、なんとなく粉瘤の症状と当てはまっているような気がしたら形成外科を受診してみてください。
なぜなら、形成外科の医師は基本的に手術に慣れており、手術までの流れも比較的スムーズです。
また、皮膚科だと混んでいることが多く、何週間も先延ばしにされてしまうことがありますが、形成外科ならそこまで混雑は見られずその日のうちに手術してくれる可能性が高いです。
放置しておくと悪化や炎症を引き起こし、手術を行うことが難しくなってしまいますので早め早めに行っていきましょう!
治療方法
粉瘤の治療方法は主に手術になります。
放っておいたり、塗り薬や飲み薬では完全に治りません。
皮膚の内側にある袋ごと取り出すのが一番効果的な方法です。
しかし化膿して、赤く腫れあがってしまったりと手術のできるような状態でないときは、抗生剤を飲んだり、切開などで中の膿を出す必要があります。
切開をして中身を出すと、見た目ではしこりがなくなったように見えるのですが…中に袋が残っている状態なので再発の可能性が高いです。
そのため、完治させるためには袋ごと摘出する方法が一般的です。
袋を取り出すところまでは変わらないのですが、そのまま傷口を縫合せずに傷口を小さくするという「へそ抜き法」(別名 くり抜き法)というものがあります。
へそ抜き法では、粉瘤部分に穴をあけて、中の膿や皮脂・角質などを出し、それから袋を引っ張りだします。
その後、縫合を行わずに治すというもので、傷口は小さくなりますが…
皮膚が凹んでクレーターのようになってしまうこともあり、きれいに治るとは限りません。
また、縫合ができていない為に袋を取り出しても再発の可能性が高いとも言われています。
どちらの治療方法を行うかは、医療機関で相談してみてくださいね。
しこりが小さいうちでしたら、切り開く大きさも小さくて済みますので、「粉瘤」と言われた段階で手術を検討してみたほうがいいかもしれません。
まとめ
粉瘤について見てきましたが、いかがだったでしょうか?
ただのニキビ…と思っているとドンドン大きくなっていってしまい、治療に時間がかかってしまう場合があります。
いつものニキビとちょっと違うかも?
痛みや色に違和感があったり、なんだか大きくなっていると感じたら、粉瘤を疑ってみてもいいかもしれません。
その際には、自己判断によって症状を悪化させたりせず、専門機関での指示を仰ぎましょう。